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翌日。
アリューズ、レティ、リーシャの3人は、セリム王国の王都フィーアの安宿で朝食のテーブルを囲んでいた。昨日は結局到着が深夜になってしまい、ろくな会話もしないまま眠りについたため、まともな会話の機会はこれが初めてだ。 それでも王都へ来る道すがら、名前のほかにも簡単な自己紹介を済ませてはいた。
アリューズとレティは武者修行の途中。リーシャは、冒険者とのことだった。
「で?本当に俺たちに旅の仕方を叩き込むわけ?行く先々でそんなことしてたら身が持たないんじゃないのか?」
朝食のウィンナーをつつきながらアリューズがリーシャに問いかける。
リーシャは紅茶を一口すすると、口を開いた。
「…まぁね。半分は本気だけど。あなたたちの旅の知識って、あまりにひどいからね。…もう半分は、あなたたちに興味があったからよ」
「…興味?」
訝しげにアリューズが問う。
「だってあからさまに怪しいでしょ?」
「怪しいって、どこが?」
「…あなた、”英雄”の国ウォルヴィスから伝説の聖剣が盗まれたって話、知ってる?」
「!!…ああ。有名な話だからな。それが?」
「盗み出したのは少年。若くしてウォルヴィスの”太陽の7騎士”の1人に選ばれた少年騎士の名を騙っているとか。少年騎士は自らの名を騙る盗賊を討つ為、現在追跡中。その騎士の名は…”アリューズ”だったわ」
「………」
「あなたが私を助けようと駆けつけた時、あなたは武器らしいものは持ってなかった。だから、あなたは無手の技の使い手か、あるいは暗器の使い手かと思った。でもその後やってきたレティちゃんにあなたは剣を受け取ってた。どうして?戦いになるのが予測できるのにわざわざ武器を置いてきた理由は何?」
「………」
「それに、その剣」
リーシャはそう言って、アリューズが椅子の横に立てかけている剣を指差した。
「鞘は普通のものだけど、その割に柄のところの飾りはかなり精巧だし、そこらの安物の剣とは思えないのよね。武者修行って言ってたけど、その割にギルドに入ってないのも不自然だし。修行の旅をするなら冒険者として仕事をしながらのほうが効率がいいはずでしょ?」
冒険者、といえば聞こえはいいが、実際の仕事は厄介ごとの解決や用心棒などが主な仕事だ。 そして冒険者の大半は社会からはみ出したアウトロー。 だから、冒険者達はむしろ厄介事を持ち込むものとして街の人間からは疎まれている。
だが、そうではない冒険者も当然存在する。アウトローたちと一線を画するために彼らはギルドを作り、まともな冒険者達は大抵それに加盟している。武者修行をするものは大抵ギルドに加盟し、各地のギルドで仕事を貰って路銀を稼ぎながら旅するのが普通だった。
「…よくそれだけ観察したものだな」
レティが感心したように言う。
「ありがと。観察眼には自信あるんだ」
「それで?何が言いたいんだ?俺たちが盗賊だって?」
アリューズの問いにリーシャは肩をすくめた。
「そこが微妙なのよね。盗賊がレティちゃんみたいな女の子連れてるってのも変な話だし。しかも、見ず知らずの他人がからまれてるのを助けようっていうくらい、馬鹿がつくほど人がいいんだもの」
「………ば、馬鹿??」
『馬鹿がつくほど人がいい』という言葉にアリューズが喜んでいいのか怒るべきなのか複雑な表情をする。
「良かったな、誉められてるようだぞ?」
言葉とは裏腹に、レティの口調は皮肉めいていて、表情はいつもどおりのクールなものだ。
「お前ソレ、本気で言ってる?」
「さてな」
「お前なぁ…」
しれっと言ってのけるレティにアリューズは渋い顔をする。
「…もしも〜し?話戻していい?結局のところ、どうなの?」
「他人のことを無駄に追及する趣味はないんじゃなかったのか?」
その問いには答えず、レティは昨日言ったリーシャの台詞を冷静に指摘する。リーシャはその言葉にあっさりとうなずいた。
「そうね。でも伝説の聖剣ともなればさすがにちょっと好奇心がくすぐられたから。別に答えたくないなら無理には…」
言いかけてリーシャの動きが一瞬止まる。
しかし、それも一瞬で、あくまで自然に、何気ない風を装いながら、リーシャは小声でつぶやいた。
「…8人、かな?あなたのお客?」
「ああ。多分ね」
そう言ってアリューズはナプキンで口を拭くと剣を持って立ち上がった。
「君は無関係だし、離れて見てた方がいい。巻き込まれると色々と面倒だろうから。それと、君の質問にはこれから答えるよ」
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☆あとがき☆
はっはっは!話が遅々として進みませんね〜。
リーシャの質問だけで終わってるし♪(殴!)
次こそはアリューズくんが活躍できる…はず(うわ、弱気)。
しっかしこの独り言的連載(汗)はいつまで続くのでしょう?
誰にも気づかれる前に消滅するか、はたまた気づかれてから消えるのか!?
まぁ、とりあえずしばらくは続くと思いますが。レポート〆切前で逃避エネルギーMAXだし(おぃおぃ)。 無駄にレティの設定だけはポコポコ出来てきてるんですよね(笑)。
2002/07/31
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