38話

リオ「ど、どういうこと?」

ツグミ「あのヴァイスは
 アインストのパーツを組み込まれて
 いるわけじゃなく……」
ツグミ「元々のパーツが何らかの方法で
 変化させられているみたいなの」

リオ「つまり……
 本質は同じってことですか?」

ツグミ「ええ……語弊はあるけど、
 ヴァイスはアインストの力を借りて
 パワーアップしたのよ」

(中略)

レーツェル「食事だけではない。
 デザートも用意してある」

アイビス「レーツェルさんの作る
 デザート……」

ツグミ「アイビス!
 よだれ、よだれ!」

アイビス「ウソ……!?
 あたし、そんな大口空けてた!?」

アヤ「ええ、かなり」

レーツェル「今日は
 アップル・ストゥリューデルだ」
レーツェル「綿々と伝えられてきた
 ウィーン菓子の真髄を
 堪能してくれたまえ」

アヤ「では、遠慮なく……」

アイビス「いただきます!」

リューネ「いいよね、
 アヤ大尉もアイビスも……。
 食べても食べてもスリムだもん」

アヤ「そう?
 でも、私も見えない所で
 努力してるのよ」

リューネ「あたしだって
 やってるよ、ダイエット……。
 でも……」
リューネ「食べたもの全部が
 筋肉になるってどういうことよ!?」

レーツェル「ふむ……
 アスリートとしては理想的だな」

リューネ「あたしは
 アスリートじゃなくて女の子だよ!」

アイビス「まあまあ、リューネ……。
 食べたものが全部、バストに
 行っちゃう人よりいいじゃない」

ツグミ「アイビス……それは
 誰のことを言ってるのかな……?」

アイビス「さあね……」

リューネ「ツグミって、
 そんな体質なんだ?」

ツグミ「まあ、こういう悩みは
 アイビスにはわからないでしょうね、
 永遠に」

アイビス(うっ……!
 本気で怒ってる……)

ユウキ「では、スイーツに合わせて
 俺が淹れた紅茶も味わっていただこう」


39話

エクセレン「出たわね、お嬢ちゃん」

キョウスケ「アルフィミィ……!」

アルフィミィ「キョウスケ……
 エクセレン……そして……」

カチーナ「な、何だ!?」

アイビス「あ、頭の中に……声が!」

シロ「お、おいら達にも聞こえるニャ!」


40話

ウェンドロ「それはもちろん、
 この銀河の秩序を守る者としての
 権利だよ」

ツグミ「銀河の秩序……!?」

ウェンドロ「おや、ヴィガジ辺りが
 言わなかったかい?君たちは銀河に
 争いを広げる病原菌だと……」
ウェンドロ「僕達は
 それを駆除するために
 地球へやって来たんだよ」

アイビス「あたし達が
 銀河を飛ぼうとするのは、
 戦うためなんかじゃないよ!」

ウェンドロ「何を言ってるんだ?
 君達は恒星間航行の手段……」
ウェンドロ「いや、
 恒星間航行をも可能とする兵器を
 作り出しつつあるじゃないか」

ツグミ「そ、それは……!」

ウェンドロ「プロジェクトTD……
 α、β、Ωがそのいい例さ」
ウェンドロ「特にΩが完成すれば、
 他の太陽系へ直接攻撃を加えることも
 可能なんだろう?」

ツグミ「Ωはそんなことには
 絶対使わせないわ!」
ツグミ「そんなことのために
 私達はプロジェクトTDを
 続けてきたんじゃないのだから!」

アイビス「あたし達は銀河を飛ぶ!
 いきなり出てきたあんたなんかに、
 それを止める権利はないよ!」

ウェンドロ「……だから、
 君達は野蛮で危険な下等生物
 なんだよ」
ウェンドロ「僕達の監視がなくちゃ、
 危なくて野放しに出来やしない」


41話

エイタ「センサー類は真っ白、
 外部との通信も不可能です!!」

テツヤ「なっ……!!」

ツグミ「あ、あの時と……
 エクセレン少尉を助けた時と
 同じ……!?」

テツヤ「俺達はホワイトスターに
 閉じ込められたのか!?」

(中略)

キョウスケ「俺達地球人は病原菌……
 いずれ銀河を滅ぼし得る存在だと」

アルフィミィ「……」

アイビス「でも、
 あたし達地球人は、まだ太陽系の外へ
 出るのがやっとなのに……!」

タスク「そうだ!
 他の星の連中にケンカなんて
 吹っ掛けてねえぜ!」

アルフィミィ「……同じことですの」

アイビス「え……!?」

アルフィミィ「あなた達以外の人間が……
 すでにこの宇宙を乱していますから」

アイビス「あたし達以外って……!?」

ユウキ「インスペクターのことか?」

(中略)

ヴィンデル「戦争がなければ、
 人類は未だに宇宙へ飛び出すことすら
 出来なかっただろう……」
ツグミ「確かに、それは事実よ。
 でも、私達は戦争をするために
 宇宙を目指しているのではないわ」

ヴィンデル「だが、
 宇宙を飛ぶための技術の多くが
 兵器に流用されている」
ヴィンデル「その最たる物が
 テスラ・ドライブではないか」

アイビス「それは兵器として使う奴らが
 悪いだけだよ!」
アイビス「せっかくの技術や発明を
 何でも戦争の道具にしてしまう奴らが!」

ヴィンデル「だが、
 闘争は人間にとって滋養分なのだ」


42話

???「……始まりの地から
 来た者達よ……」

ゼオラ「こ、声が聞こえる……!」

アイビス「アルフィミィの時と
 同じだ……!」


43話

テツヤ「何だと!?
 すぐに予測コースを計算しろ!」

ツグミ「は、はい!」

(データ音)

ツグミ「こ、これは……!!」

ツグミ「大気圏内への突入コース……
 アインスト群は地球を目指しています!」

テツヤ「!!」

(中略)

???「お前達が繰り広げる戦いで
 宇宙の静寂を乱すわけにはいかぬ」

ツグミ「勝手な決めつけを!
 私達は戦うために銀河へ旅立とうと
 しているわけじゃないわ!」

アイビス「ここよりも
 もっと広い世界を見るために
 あたし達は飛ぶのよ!」

???「愚かな……。
 その意思こそがお前たちの罪なのだ」

(中略)

カチーナ「その割にゃ、
 てめえは人間とは似ても似つかねえ
 化け物じゃねえか?」

アイビス「あの子は
 私達と同じ姿をしているのに……
 どうして……?」

アルフィミィ「私は……
 コピーに過ぎませんの……
 空っぽの……」

(中略)

マイ「あのアインストの思念が……!」

リョウト「き、消えた……」

アイビス「こ、これで……
 終わったの……?」

アルフィミィ「……」

(中略)

レーツェル「人にとっては
 まったく当たり前のことが……
 アインストには欠けていたのか」

ツグミ「あれだけの力を
 持っていた彼らが……そんなことに
 気づかなかったなんて……」

リョウト「彼らも
 欠陥品だったと言うことなのか……?」