ツグミ「少佐、
 テストの準備が完了しました」

フィリオ「ありがとう、
 タカクラチーフ。
 パイロットの様子は?」

ツグミ「2名共スタンバイしています。
 ただ、アイビスの心拍に多少の乱れを
 計測していますが」

フィリオ「彼女のことだ、
 武者震いだと思うよ」

ツグミ「だといいのですが……」

フィリオ「不安かい?」

ツグミ「……はい。ツイン・テスラ・
 ドライブの実験機であるカリオンを
 彼女の技量で扱えるかどうか……」
ツグミ「少佐、システムチーフの
 権限で、今回のテストはスレイのみで
 行うことを提案します」

フィリオ「……君の意見は
 もっともかも知れない。だが、
 テストは予定通り2機で行うよ」

ツグミ「少佐は何故そこまで彼女を……
 アイビス・ダグラスを買うのです?」
ツグミ「確かに、メンバーの欠員により
 テストパイロットは今や2名だけに
 なってしまいましたが……」

フィリオ「そこまでにしよう、チーフ。
 そろそろ予定の時刻だ」

ツグミ「でも……」

フィリオ「君もいつか知るよ。
 彼女の持っている確かな力を……」
フィリオ「そして、それこそが
 僕たち……いや人類にとって、最も
 必要とすべきものであることをね」

ツグミ「フィリオ……」

フィリオ「さあ、行こう。
 残された時間はわずかなんだ……」


第2話『星への翼』


スタッフ「ターゲットの
 バルドング、配置につきました」

ツグミ「カリオン、スタンバイOK」

フィリオ「よし……
 カリオン01、04、STOL発進」

(カリオン発進)

ツグミ「ツイン・テスラ・ドライブ、
 各アビオニクス、オールグリーン」
スタッフ「04、01に遅れています」

フィリオ「アイビス、加速だ。
 フォーメーション23について」

アイビス「りょ、了解!」

(アイビス機、移動)

ツグミ「フォーメーション23、
 確認。が、04の機体制御に
 若干のブレがあります」

フィリオ「アイビス、
 少し緊張しているようだね」

アイビス「そんなことは……!」

フィリオ「肩の力を抜いてごらん。
 大好きなチーズケーキを
 目の前にした時のように」

アイビス「……はい」

フィリオ「ほら、リラックスして。
 いつもの君なら出切るはずだよ」

アイビス「ありがとうございます、
 フィリオ……少佐」

スレイ「……」

ツグミ「……スレイ、アイビスを
 誘導してあげて」

スレイ「了解した。
 ……04、こちらの指示に従え」

アイビス「りょ、了解!」

ツグミ「機体、安定しました。
 続いて、武装テストを行います。
 01、ターゲットへアプローチ」

スレイ「了解。
 スレイ・プレスティ、行きます」

フィリオ「落ち着いてな、スレイ」

スレイ「……余計な心配は無用です」

(スレイ、目標を撃破

戦闘台詞:
スレイ「ワンアプローチ……
 一撃で落とす!」)

スタッフ「01、ターゲット撃破」

フィリオ「ワンアプローチでか……」

スタッフ「さすがですね。
ナンバー01のポジションは
 伊達じゃない」

フィリオ「ああ。我が妹ながら
 よくやってくれているよ」

ツグミ「続いて04、
 ターゲットへアプローチ」

アイビス「………」

ツグミ「アイビス!」

アイビス「りょ、了解!
アイビス・ダグラス、行きます!」

(アイビス撃破失敗。
戦闘台詞:
アイビス「スレイには負けられない……!
 あたしだって!」)

アイビス「くっ!しまった!」

スタッフ「04、ターゲット撃破失敗」

フィリオ「カリオンの出力に問題が?」

スタッフ「いえ、重力加速は充分な
 数値を計測しています。原因は
 パイロットの操縦ミスです」

フィリオ「……そうか」

ツグミ(予想通りの結果ね……)

アイビス「すみません!
 再アプローチに入ります!」

フィリオ「その必要はないよ、
 アイビス。テストに関しては
 充分な結果が出た」

アイビス「でも……!」

フィリオ「今の君の最優先事項は
 一刻も早くカリオンに慣れることだ」

ツグミ「少佐、時間の無駄です。
 次のテストに進みましょう」

アイビス「時間の無駄……!?」

スレイ「チーフの言う通りだ。
 お前が成功するのを待っているほど
 我々は暇ではない」

アイビス「く……」

スタッフ「ターゲット、回収します」

(ターゲット回収。警報)

フィリオ「警報!?何があった!?」

ツグミ「司令部より伝達!
 所属不明機が当基地に接近!
 現在、迎撃部隊と交戦中!」

ツグミ「いえ、
 突破されたようです!」

フィリオ「!!」

(敵機出現)

フィリオ「ガーリオン……!」

アーチボルト「ふふふ……。
 連邦のパイロットはリオンの扱いに
 まだ不慣れなようですね」

アーチボルド「おかげで、思ったより
 簡単に基地へ侵入できましたよ」

ツグミ「短時間で基地の守備隊と
 防衛網を突破してくるなんて……」

スレイ「敵はかなりの手練れらしいな」

アイビス「……!」

アーチボルド「ほう、あれが
 プロジェクトTDの実験機ですか」

所属不明兵「アーチボルド・
 グリムズ少佐、あの機体は
 どうするのですか?」

アーチボルド「ああ、無視してください。
 僕たちの獲物じゃありませんから」

所属不明兵「はっ!」

基地司令「フィリオ少佐、
 パーソナルトルーパー部隊が出撃
 するまでの時間をカリオンで稼げ!」

フィリオ「待ってください、司令。
 あれは実験機で、パイロットにも
 実戦経験はありません」

基地司令「だが、カリオンには
 実弾が装填されているのだろう!」
基地司令「今すぐ敵を迎撃できるのは
 あの2機しかない!やらせろ!」

フィリオ「しかし……!」

スレイ「こちら01。
 これより敵機を迎撃する」

フィリオ「スレイ!」

スレイ「機体は完璧だ。
 後はパイロットの腕を見せれば、
 プロジェクトの有意が実証できる」
スレイ「アイビス、お前は下がれ」

アイビス「で、でも……」

スレイ「足手まといだと
 言っている……!」

ツグミ「スレイの言う通りよ。
 アイビス、下がりなさい」

アイビス「……あたしだってやれる……
 やってみせるよ……!」

ツグミ「アイビス!」

フィリオ「……わかったよ、アイビス。
 でも、二人とも無理をしないでくれ」

スレイ「了解」

アイビス(やってみせる……。
 あたしは、こんなところで
 終われないんだ……!)
アイビス(星の海を往く日まで
 あたしは……!)


アーチボルド「おや?離脱せずに
 こちらとやりあう気ですか」

所属不明兵「情報では、
 非武装の実験機だと……」

アーチボルド「やれやれ、
 どうやら『ローズ』に
 一杯食わされたようですね」

アーチボルド「仕方ありません。
 コーツ隊は実験機の相手を」

所属不明兵「はっ!」

アーチボルド「ああ、そうそう。
 くれぐれも功を焦ってあの2機を
 攻撃しては駄目ですよ」
アーチボルド「スポンサーを怒らせると
 僕達の活動に支障が出ますからね」

所属不明兵「了解!」

アーチボルド「ところで、
 僕達の獲物は見つかりましたか?」

所属不明兵「はっ、熱源反応を確認。
 機数、4。出撃準備中のようです」

アーチボルド「結構。じゃあ、僕達は
 もう少し様子を見るとしましょう」


戦闘前:
スレイ「兄様のカリオンに
 この私の力があれば!」

アイビス「撃つんだ……!
 撃たなければ、自分がやられる!」


フィリオ「おかしい……」

ツグミ「え?」

フィリオ「ガーリオン隊は
 まともな動きを見せていない。
 まるで何かを待っているかのようだ」

ツグミ「言われてみれば……」

フィリオ(もしや、敵の狙いは?)


オペレーター「司令、PT第3小隊の
 発進準備が整いました!」

基地司令「よし、出撃させろ!」

アーチボルド「現れましたね。
 では、第3段階に移行……」

アーチボルド「中のパイロットは
 殺して構いませんから」

(ガーリオン、PTとりつき)

スレイ「何だ!?
 あのガーリオンのスピードは!?」

ツグミ「ブースト・ドライブ!?」

フィリオ「馬鹿な、
 あのシステムは……!」

連邦兵「なっ、何だ、こいつら!?」
連邦兵「ハ、ハッチが!うわああっ!」

アイビス「あいつら、
 何をやっているんだ!?」

所属不明兵「少佐、
 機体の奪取に成功しました!」

アーチボルド「上出来です。後詰めは
 僕達に任せて、直ちに離脱を」

所属不明兵「はっ!」

(離脱)

基地司令「ヒュッケバインが
 奪取されただと!?
 すぐに追撃しろ!!」

オペレーター「だ、駄目です!
 あのスピードでは追いつけません!」

基地司令「ば、馬鹿な!」

フィリオ「何てことだ……」

ツグミ「少佐、これは一体……!?
 何故、あのガーリオンが
 ブースト・ドライブを!?」

ツグミ「あれは私達のプロジェクトで
 開発したバイン・ランゼンの……!」

フィリオ(イスルギに提出した
 データが外部にもれたのか……?)

アーチボルド「では、もうしばらく
 付き合ってもらいましょうか。
 獲物を逃がす時間を稼ぐためにね」


オペレーター「司令!
 友軍機が基地内に突入してきます!」

基地司令「!」

(ATX隊出動)

キョウスケ「量産型の
 ヒュッケバインMk−Uは……
 持っていかれた後か」

エクセレン「キョウスケの読みが
 当たっちゃったみたいね」

ブリッド「くそっ!
 あいつら、よくも!!」

キョウスケ「熱くなるな、ブリッド。
 実験機だけでも守り抜くぞ」

ブリッド「ええ、わかっています!」

ツグミ「アルトアイゼンに
 ヴァイスリッター、量産試作型の
 ヒュッケバインMk−U……」

スレイ「彼らが
 あのATXチームか……!」

ラミア(コードのない機体……
 あれが実験機か?)

フィリオ(何だ、あの機体は……?
 パーソナルトルーパーや
 アーマードモジュールじゃない)
フィリオ(強いて言えば
 ヴァルシオーネやダブルGに
 似ているが……)

アーチボルド「おやおや、噂に名高い
 ATXチームのご登場ですか」

アーチボルド「よろしい、彼らへの
 攻撃を許可します。前々から手合わせ
 願いたいと思っていましたからね」

フィリオ「スレイ、アイビス、後は
 彼らに任せて、一時離脱するんだ」

スレイ「その必要はありません。
 私はまだやれます!」

アイビス「あたしだって!」

フィリオ「これは
 プロジェクト責任者としての命令だ。
 拒否は許さない」
フィリオ「それに、素人の君達では
 彼らの足手まといになるだけだ」

スレイ「兄様……!」

アイビス「フィリオ……」

フィリオ「離脱するんだ」

スレイ「……了解です……」

(2機撤退)

ラミア(後退したか。
 よほど大事な機体らしいな)
ラミア(それに、あの加速……
 高性能のテスラ・ドライブを
 搭載していると見た)

キョウスケ「アサルト1より各機へ。
 敵機を掃討するぞ」

ラミア「了解」


アーチボルド「そろそろ頃合ですね。
 月並みな台詞で恐縮ですが……
 また会いましょう、ATXチーム」

(消える)

ラミア「隊長。
 敵機の反応、消えましてございます」

キョウスケ「こちらでも確認した。
 ……基地司令とコンタクトを取る」

ラミア「承知しましたですわ」

エクセレン「ねえねえ、ラミアちゃん。
 その喋り方、何とかならないの?」

ラミア「お気に触りましたら
 申し訳ございませんです。
 エクセ姉様」

ラミア(……好きで
 こう喋っているわけではない)

エクセレン「ううん、文句を
 言ってるわけじゃないんだけど……
 緊張感ってものが、ちょっとねぇ」

ブリッド「それ、
 少尉に言えることですか?」

エクセレン「ブリット君。今ので
 ランキングポント、下がったわよ?」

ブリット「す、すみません。
 って、何のランキングなんですか!」

ラミア「緊張感がないのはどちらだ。
 こいつらがあの部隊の中核になるとは
 思えんな)

キョウスケ「……基地司令との
 交渉が済んだ。弾薬の補給と
 帰りの足を用意してくれるらしい」

エクセレン「わお!ついでに
 お風呂も用意してくんないかしら?」

キョウスケ「近くの湖で
 水浴びでもしていろ。
 ……全機、格納区画へ向かうぞ」


スレイ「アイビス……
 さっきの無様なフライトは何だ!」

アイビス「………」

スレイ「わかっているのか!
 成果を見せなければ、我々の
 プロジェクトは即刻解散だ!」
スレイ「お前のミス一つで
 全てが終わるのだぞ!」

アイビス「わかっている……!
 だから……だから……!」

スレイ「意気込みを見せるのなら、
 結果を出してもらいたいな」
スレイ「それが出来ない者に
 シリーズ77のシートに座る
 資格はない……!」

アイビス「く……」

ツグミ「酷なようだけど、
 スレイの言っていることは事実よ」
ツグミ「アイビス……認識してね。
 私達はぎりぎりのところにいるのを」

アイビス「そんなこと……
 あたしだってわかっているさ……!」

(アイビス走り去る)

スレイ「逃げたか……。
 まるで尻尾を丸めた負け犬だな」

ツグミ「彼女の熱意は
 認めるけどね……」

スレイ「だが、今のままでは
 あいつが星の海を往くのは
 無理な話だ」
スレイ「怪我をする前にプロジェクトを
 脱退させた方がいい」

ツグミ「そうね……その方が
 あの子のためかも知れない……」
ツグミ「叶わない夢ならば、
 見ない方が幸せだから……」

スレイ「構わんさ。
 カリオンはともかく、αプロトの
 テストパイロットは私一人で充分だ」

スレイ(そう……兄様の夢は
 私が必ずかなえてみせる……!)

ツグミ「……」

(エクセレンたち来る)

エクセレン「わお!
 あれがさっきの実験機ね。
 名前は……マリオンだったっけ?」

ブリット「カリオンです。
 そんなこと言ってると
 ラドム博士に吊されますよ」

エクセレン「あらん、
 ブリット君、そういうのが好み?」

ブリット「な、ななな……!」

エクセレン「お約束の反応ねえ。
 も少しバリエーションを
 増やしなさいな」

ラミア(付き合っていられんな)

スレイ「……タカクラチーフ、
 後は任せる」

ツグミ「あ、スレイ……」

(スレイ出て行く)

エクセレン「あの子が
 マ……じゃ、なかった、
 カリオンのパイロット?」

ツグミ「え、ええ」

エクセレン「何だか
 ご機嫌ななめだったみたいね」

ツグミ「申し訳ありません、
 エクセレン・ブロウニング少尉。
 初の実戦で疲れているようで……」

エクセレン「しょうがないんじゃない?
 誰だって初めての時は緊張するもの」
エクセレン「あ、ブリット君。
 初めてって言っても、
 そっち方面の話じゃないわよ?」

ブリット「わかってますよ。『え』が
 つく方面じゃないってことでしょ?」

エクセレン「むむ、
 やれば出来るじゃないの、
 別のリアクション。初段認定よん」

ブリット「そんなのもらっても、
 嬉しくありませんよ」

ラミア「あの、エクセ姉様……
 話が進みませんでございますことよ」

ツグミ「?」

エクセレン「ああ、気にしないで。
 この子、こういう喋り方なの」

ツグミ「は、はあ。
 ……申し遅れました、私、
 プロジェクトTDのメンバー……」
ツグミ「ツグミ・タカクラと申します」

ラミア「プロジェクトTD?」

ツグミ「ええ、シリーズ77……
 恒星間航行機の開発計画です」

ラミア(なるほど。
 そのための新型テスラ・ドライブか)

ブリット「恒星間航行機ってことは、
 外宇宙へ行くんですか?」

ツグミ「はい。ですので、
 その試作機であるカリオンは……」
ツグミ「本来は戦闘機でなく、
 外宇宙探査船に分類されるべき
 物であり……」
ツグミ「そのパイロットも
 アストロノーツとしての訓練を
 積んでいるんです」
ブリット「あんな小さな機体で
 外宇宙へ行こうだなんて……
 随分と思い切った計画ですね」

ツグミ「最終的には
 探査用と居住用のモジュールを
 付ける予定なのですが……」
ツグミ「それでも最小クラスの
 恒星間航行機であることに
 違いはありません」

ラミア「何のためにそんな物を?」

ツグミ「人類が本格的に
 外宇宙へ進出するためです」
ツグミ「でも、こんなご時世ですから
 カリオンにはやむなく武装を……」

エクセレン「そうねえ。
 あの大統領さんが、異星人のことを
 演説でバラしちゃったもんね」

ツグミ「ですが、シリーズ77は
 本当は平和利用のために
 開発された機体なんです」

ラミア(平和利用?
 くだらん、兵器は兵器でしかない)
ラミア(……私のようにな)

(キョウスケくる)

キョウスケ「……ここにいたか。
 輸送機の準備が整った。
 シロガネと合流するぞ」

ブリット「わかりました」

ツグミ「あの……キョウスケ・ナンブ
 中尉、先程は助けていただき、
 本当にありがとうございました」

キョウスケ「礼には及ばん。
 当然のことをしたまでだ」

エクセレン「んじゃ、
 縁があったらまた会いましょう、
 ツグミちゃん」

ツグミ「はい。
 皆さん、どうかお気をつけて……」


ツグミ「少佐、本日のテストと
 交戦時のデータをお持ちしました」

フィリオ「ありがとう、チーフ。
 ……まずは君の目から見た感想を
 聞きたいな」

ツグミ「結果は上々と言えます」
ツグミ「特にスレイ操縦時の
 カリオンの各データは予測数値の
 108%を達成しました」

フィリオ「うん……さすがはスレイだ」

ツグミ「嬉しそうですね」

フィリオ「僕達のエースであり、
 自慢の妹でもあるからね。
 それで、アイビスの方は?」

ツグミ「……93%程度です」

フィリオ「そうか……」

ツグミ「ですが、これでカリオンの
 完成度の高さは実証されました」
ツグミ「交戦データにおいても、
 部分的にはガーリオンを上回る
 戦闘力を発揮しています」

フィリオ「戦闘力か。
 果たして、僕達はこの結果を
 喜ぶべきなのだろうか……」

ツグミ「少佐……?」

フィリオ「かつてのDC総帥、
 ビアン・ゾルダーク博士の
 地球圏防衛思想は……」
フィリオ「確かに
 人類にとって必要なものだった」
フィリオ「だから、僕は総帥の考えに
 賛同し、テスラ・ドライブを搭載した
 リオンシリーズを設計した……」

ツグミ「………」

フィリオ「そして、戦いは終わった。
 ビアン総帥が望んだ形で……」
フィリオ「だが、僕達はいまだに
 戦争から解放されない……」
フィリオ「シリーズ77も僕達も
 永遠に戦いの呪縛から逃れることは
 出来ないのだろうか……」

ツグミ「フィリオ……」

フィリオ「ごめんよ、ツグミ。決して
 ヤケになっているわけじゃないんだ」

フィリオ「ただ、
 カリオンとリオンシリーズが
 戦っているのを見て、少しね……」

ツグミ「……フィリオ、
 今回の襲撃事件でプロジェクトの
 本拠地が変わることになったの」

フィリオ「シリーズ77が、他組織の
 ターゲットになり得るからかい?」

ツグミ「ええ……私達が開発した
 ブースト・ドライブのデータも
 外にもれているようだし……」
ツグミ「万が一を想定しての処置なの」

フィリオ「そうか……移動先は?」

ツグミ「テスラ・ライヒ研究所よ」

フィリオ「テスラ研か……懐かしいな。
 でも、DC側についた僕が今さら
 どの面を下げて戻ればいいんだ……」

ツグミ「ジョナサン・カザハラ博士は
 そんなことを気になさらないわ」
ツグミ「それに……
 今回の処置で、少しはあなたに
 休息を与えてあげることが出来る」

フィリオ「ツグミ……」

ツグミ「フィリオ……残りの
 データ検証は明日にしましょう」
ツグミ「眠りにつくまで側にいるわ。
 いい夢が見られるように」

フィリオ「いや、
 君こそゆっくり休んだ方がいい。
 ここのところ、働き詰めだろう?」

ツグミ「ううん……いいの。
 今はあなたの力になりたいの……」

フィリオ「……ありがとう、ツグミ」

ツグミ「忘れないでね、
 フィリオ。あなたの夢は
 私の夢であることを……」

フィリオ「TD……
 テレストリアル・ドリーム……
 夢で終わらせたくないよ……」