輸送機・機内
連邦兵「01は
 当機離脱後、進路を南西に設定!
 呼びかけにも応じません!」

クスハ「スレイさん、
 テスラ研へ向かう気なの……!?」

レーツェル「……彼女はフィリオ達を
 救い出すつもりなのかもしれん」

クスハ「そんな……たった一人で?」

連邦兵「!?
 01の速度が落ちています!」

レーツェル(エンジントラブルか?
 いや、あるいは……)

ツグミ(スレイ……)

連邦兵「04、01を捕捉!
 まもなく接触します!」

レーツェル「あの位置なら
 こちら側も追いつけるかも知れん。
 急いでくれ」

連邦兵「了解!」


第18話「流星、夜を切り裂いて」


スレイ「来たか……」

(アイビス現れる)

アイビス「スレイ……!」

スレイ「待っていたぞ、アイビス!」

アイビス「え……?」

スレイ「お前の腕で
 私に追いつけると思っていたか?」

アイビス「じゃ、じゃあ、
 何のために速度を落として……」

スレイ「……誰にも
 邪魔されない場所ではっきりと
 雌雄を決するためだ!」

アイビス「ま、待ってよ、スレイ!
 今さらそんなことのために
 脱走までするなんて!」 
アイビス「それに私とスレイじゃ
 勝負は見えてるし……。
 一体何のために!?」

スレイ「……理由なぞ
 お前が知る必要はない……」
スレイ「ただ、私はもう一度お前に
 実力を見せつける必要があるのだ!」 

   (スレイ砲撃)

アイビス「う、撃ってきた!?」

スレイ「お前に恨みはない……」
スレイ「だが、
 圧倒的な力の差を見せつけるためには
 これが最も効果的なのでな」

アイビス「やめてよ、スレイ!
 あたし達は今日まで一緒に
 やってきた仲間じゃない……!」

スレイ「仲間か……」
スレイ「私は、一度たりともお前を
 同志だと思ったことはない……!」

アイビス「な……!」

スレイ(それでもお前が私の後ろを
 ついてくるのなら問題はなかった)
スレイ(だが……お前が
 私の前に立つと言うのなら、
 許すわけにはいかない……!)

アイビス「考え直して、スレイ!
 こんなことをしてフィリオが
 喜ぶと思っているの!?」

スレイ「所詮、少佐は技術者だ。
 パイロットにはパイロットの
 流儀がある……!」

スレイ「戦え、アイビス……!
 ここでTDのナンバー01が
 誰なのかをもう一度教えてやる!」

アイビス 「……」
アイビス「……スレイ……。
 あんたを倒せば、あたし達の所に……
 TDに戻ってくるんだよね……」

スレイ「フン……やる気になったか。
 それでこそアイビス・ダグラスだ」

アイビス「スレイ……!」

スレイ「心配するな。
 生命までは奪うつもりはない」

アイビス「負けない……」
アイビス「星の海を往くためにも、
 あんたをTDに連れ戻してみせる!」

スレイ「ならば、教えてやる……!
 ナンバー01は私だ!」


スレイと一騎打ち。
戦闘前台詞:
アイビス「く……速い……!」
スレイ「機体の条件は同じ……
 要は腕の差だ!」


2戦目。
スレイ「どうだ、アイビス!
 実力の差を思い知ったか!」
アイビス「だからって、
 あきらめてなんかいられない!」
  アイビス「星の海を往くためには
 フィリオとチーフ、あたしとあんた、
 全員の力が必要なんだ!」

(スレイ撃墜)

スレイ「く……!」

アイビス「やった……やったよ!」

スレイ「アイビス!
 勝負はまだついていない!」

(スレイ、ド根性で回復)

アイビス「スレイ!」

スレイ「負けるわけにはいかない!
 ナンバー01はこの私だっ!!」

(イベント戦闘でアイビス撃墜)


アイビス「ああっ!!」

(アイビス機、撃墜)

スレイ「フン……脱出はしたようだな」

(輸送機出現)

ツグミ「ああっ……!」

クスハ「ア、アイビスさんが……!」

スレイ「心配するな。
 アイビスは脱出している」

ツグミ「スレイ……あなた……」

スレイ「結果は見ての通りだ、
 タカクラチーフ」
スレイ「これでαプロトには
 誰が相応しいかはっきりしたな」

ツグミ「………」

アイビス「よかった……スレイ……。
 TDに戻って……くれるんだね……」

クスハ「ア、アイビスさん!」

アイビス「撃墜……されるのは
 慣れてる……からね……」
アイビス「打撲……ぐらいは
 したけど……大丈夫……だよ……」

スレイ「………」

アイビス「スレイ……
 これで……気が済んだでしょ……」
アイビス「一緒に……帰ろうよ……。
 あたし達はさ……プロジェクトTDの
 仲間なんだから……」

スレイ「……」

アイビス「やっぱり……あたし……
 あんたにはかなわなかったけど……
 いつか……絶対に……」
アイビス「星の海を……
 飛んでみせる……よ……。
 あんたと一緒に……」
アイビス「だから……帰ろうよ……」

スレイ「アイビス……」

レーツェル「スレイ……
 君の方こそ、これで判っただろう」
レーツェル「何故、フィリオが
 君でなくアイビスを選んだかを」

スレイ「……!」

レーツェル「ナンバー01で
 あることのみに固執する君と
 さらなるゴールを目指す彼女……」
レーツェル「どちらが星の海を往くに
 相応しい者かは一目瞭然だ」

スレイ「黙れ!」

アイビス「スレイ……」

スレイ「どうやら、あくまでも
 私の存在を認めない気だな……」
スレイ「ならば、私は別のやり方で
 私の力を証明するまでだ……!」

アイビス「待って、スレイ!」

スレイ「アイビス!
 今日からお前は私の敵だ!」
スレイ「次に会った時には
 生命を懸けての勝負だ!
 それまでに腕を上げておけ!!」

(スレイ飛び去ろうとする)

アイビス「スレイ!」

スレイ「………」

(そのまま去る)

アイビス「スレイーッ!!」

クスハ「スレイさん……」

レーツェル「……行ってしまったか」

ツグミ「………」

連邦兵「どうします、タカクラチーフ?
 01を追いますか?」

ツグミ「………」

連邦兵「タカクラチーフ?」

ツグミ「あ……ごめんなさい。
その……」

レーツェル「……カリオンの
 あの速度には追いつけん。
 アイビスを回収しよう」

連邦兵「了解です」

(アイビス回収。同時に警報)

ツグミ「な、何なの!?」

連邦兵「こちらへ
 接近してくる機体を感知しました!
 おそらく、インスペクターです!」

ツグミ「!」

(敵部隊登場)

ツグミ「囲まれた!?」

レーツェル「出撃するぞ、クスハ」

クスハ「は、はいっ!」

レーツェル「タカクラチーフ、
 我々が突破口を開くまで
 何とかもたせてくれ」

ツグミ「わ、わかりました……!」

(2機出撃)

レーツェル「クスハ、前回の例もある。
 油断をするな」

クスハ「本命が来るかも
 知れないってことですね……!?」

レーツェル「そうだ。行くぞ!」


レーツェル「!」

連邦兵「こちらへ高スピードで
 接近する機体あり!!」

ツグミ「な……何、これ?
 こんな速度を出せる機体が
 あるなんて……!」

レーツェル「インスペクターか?」

クスハ「違います、あれは……」

(サイバスター登場)

レーツェル「サイバスター……!」

ツグミ「あれが……魔装機神!?」

クスハ「マサキ君!」

マサキ「よう、久しぶりだな!」

シロ「クスハ、元気だったニャ?」

クスハ「シロちゃん……!」

クロ「マサキ、シロ、ノンキに
 挨拶してる場合じゃニャいって」

マサキ「おっと、そうだった」
マサキ「取り込み中だろ?
 手助けするぜ」

クスハ「で、でも……」

マサキ「異性人の話は知ってる。
 それに、そのつもりで
 こっちへ来たからな」

クスハ「……ありがとう、マサキ君」

マサキ「なあに、いいってことよ」

シロ「マサキ、
 敵がこっちに向かってくるニャ!」

マサキ「わかってる!
 行くぜ、シロ!クロ!」

クロ「OKニャ!」


(敵機全機撃破後)

シロ「マサキ、
 こっちに何かが向かってくるニャ!」

マサキ「敵か!?」

シロ「デ、データにはニャい奴だニャ!」

マサキ「何っ……!?」

シロ「は、速い!
 おいら達の所へ来るニャ!!」

マサキ「!!」

(アギーハ登場と同時にマサキをすり抜け様に攻撃!)

マサキ「くうっ!!」

クスハ「マ、マサキ君!!」

マサキ「チッ、かすめられたか!」

ツグミ「あ、あの機体も……
 何てスピードなの……!?」

アギーハ「ふふふ、こんな所で
 風の魔装機神に出くわすなんて……」
アギーハ「残り物に福があるって
 本当だね。ヴィガジに感謝しなきゃ」

マサキ「てめえ、何者だ!?」

アギーハ「あたいはアギーハ。
 インスペクターさ」

マサキ「!!」

アギーハ「あ、そうそう。
 付け加えとくと、裏のリーダーねv」

シロ「裏?表は誰ニャ?」

クロ「シロ、突っ込むトコは
 そこじゃニャいでしょ」

アギーハ「ねえ、あんた達……
 シュウ・シラカワを
 捜してるんでしょ?」

マサキ「!奴を知ってんのか!?」

アギーハ「ま、話だけはね。前に
 色々とやってくれちゃったからさ」
アギーハ「もっとも、
 あの事件はあたい達にとっちゃ
 都合が良かったんだけど」

マサキ「何……!?」

レーツェル(事件……?
 もしや、南極事件のことか?)

シロ「ど……どういうことニャんだ、
 マサキ!?」

マサキ「そいつは
 こっちが聞きてえくらいだぜ……!」

アギーハ「さ、細かい話は抜きにして……
 あんた、シュウ・シラカワの居場所を
 知らないかい?」

マサキ「それも
 こっちが聞きてえぐらいだ!!」

アギーハ「あっそ。やっぱりね」

シロ「異星人が
 シュウに何の用ニャ!?」

アギーハ「あらあら、ネコちゃん……
 細かい話は抜きって言ったでしょ」

シロ「ニャ……!!」

マサキ「こうなったら、力ずくでも
 わけを聞き出してやるぜ!」

アギーハ「ふふふ……
 レディの扱いが下手ね、ボク」
アギーハ「そんなんじゃ、
 あたいのダーリンみたいな
 シブい男になれないわよv」

マサキ「こ、この!
 ふざけやがって!!」

クロ「ニャ、ニャんか調子狂うわね。
 ホントに異星人ニャの?」

マサキ「どのみち、
 あいつを何とかしなきゃここを
 突破できねえんだ!行くぞ!!」

アギーハ「ふふふ、そうはいかないよ」

(敵増援)

クスハ「ああっ!」

マサキ「まだいやがったのか!」

アギーハ「ま、こっちも仕事だからね。
 持って帰るものは持って帰らないと」
アギーハ「でも、
 その前にあんたと遊んであげるよ」

マサキ「何っ!?」

アギーハ「シルヴェルヴィントと
 サイバスター……どっちのスピードが
 上か、ハッキリさせときたいからね」

マサキ「……!」


輸送機・機内
ツグミ「アイビス、どこへ行くの!?」

アイビス「この輸送機に動かせる機体が
 あるなら……それで出撃する……!」

ツグミ「無茶を言わないで!
 死にに行くようなものよ!!」

アイビス「ここにいたって、
 結果は同じだよ!」
アイビス「だったら、あたしは
 自分自身の力を出し切りたい!」
アイビス「星の海を往く……!
 そのためだったら何も怖くない!」

ツグミ(ナンバー01であることに
 固執したスレイ……)
ツグミ(そして、宇宙を翔ぶことに
 全てを懸けるアイビス……)
ツグミ(フィリオ……あなたは……)

アイビス「お願い、タカクラチーフ!
 あたしを出撃させて!」

ツグミ「……アイビス、
 これを見て……」

(覆いを取る)

アイビス「これは、ガーリオン……!?
 いや、違う……」
アイビス「まさか、αプロト
 ……!」

ツグミ「そうよ。
 その名は『アステリオン』。
 あなたにこの機体を託すわ」

アイビス「タカクラチーフ……」

ツグミ「私には、これが正しい選択かは
 わからない……だけど……」

アイビス「ありがとう、チーフ!
 あたし、絶対にやるよ!」

ツグミ「え……!」

アイビス「この機体は
 TDのみんなの夢の結晶なんだ……。
 だから、やるんだ……!」

ツグミ「アイビス……」

アイビス「絶対にやってみせるよ!」


アギーハ「さあ行くよ、坊や!」

マサキ「!」

クスハ「マサキ君!」

マサキ「来るな!
 あいつは俺に任せて、
 お前らは輸送機を守れ!」

アギーハ「ほらほら!
 よそ見してんじゃないよ!!」

イベント戦闘(アギーハの一撃を避けディスカッターで切りつけるマサキ!)

マサキ「どうだ!!」

アギーハ「アハハ……ハハハハ!」

マサキ「!?」

アギーハ「さすがだよ、坊や。
 風の魔装機神ってのは、
 伊達じゃないみたいだねえ」
アギーハ「どうやら、あたいは
 あんたを甘く見てたようだ……
 次は本気で行くよ!」

マサキ「お決まりの台詞を
 言いやがって!」

アギーハ「だったら、かわしてみな!
 さっきみたいにさ!」

(アギーハ接近、攻撃)

マサキ「何っ!?」

アギーハ「まだまだ!!」

(周りを回りながらの連続攻撃)

クスハ「マ、マサキ君!!」

マサキ「チッ、やるじゃねえか!!」

アギーハ「ほらほら、坊や。
 どうしたのさ?」

マサキ「調子に乗るな!
 勝負はまだこれからだぜ!!」

シロ「マ、マサキ!
 さっきの攻撃で左のウィングが
 やられたニャ!」

マサキ「何!?」

シロ「これじゃ、
 バランスが上手く取れニャいし、
 スピードも出ニャいよ!」

アギーハ「心配はいらないよ、
 もう片方も壊してやるからさ!」

マサキ「くっ、この……!」

クスハ「た、助けに行かなきゃ!!」

レーツェル「弐式では
 あの2体の速度に追いつけん!
 私に任せたまえ!」

アギーハ「あんたは
 お呼びじゃないんだよ!」

レーツェル「!」

(遠くからレーツェル攻撃、避けるレーツェル)

アギーハ「ハッ、いい腕じゃないか!
 けど、出鼻はくじいたよ!」

レーツェル「うぬっ……!」

アギーハ「さあ坊や、観念しな!」

マサキ「ふざけんな、誰が!」

レーツェル「いかん、あのままでは!」

(通信が入る)

レーツェル「何だ?輸送機から?」

ツグミ「レーツェルさん、指揮官機を
 何とかひるませて下さい!」

レーツェル「何をするつもりだ!?」

ツグミ「説明をしている暇は
 ありません!お願いします!」

レーツェル「……承知した!」
レーツェル「ターゲット・インサイト!
 撃て、トロンベよ!」

(アギーハ射撃)

アギーハ「!?
 あんたの相手は後でしてやるよ!!」

レーツェル「……それまで
 お前が無事ならばな」

アギーハ「何?!」

ツグミ「システム・オールグリーン!
 テスラ・ドライブ、ETOL!!」
ツグミ「速度、高度このまま!
 ハッチ解放!」

(アステリオン発進!BGM、『流星、夜を切り裂いて』に!!)

マサキ「何だ!?」

クスハ「ガーリオン……!?」

レーツェル「いや、違う」

クスハ「え!?」

レーツェル「……星への翼、
 はばたくか」

アギーハ「ハハッ、
 まだ新型を隠してたとはね!」
アギーハ「けど、
 あたいのシルベルヴィントには
 追いつけやしないよ!」

ツグミ「相対速度・距離算出!
 データ、アステリオンにロード!」
ツグミ「今よ、アイビス!」

アイビス「やってみせる!」


イベント戦闘(アイビス、アギーハを攻撃)

アイビス「やった!?」

アギーハ「このシルベルヴィントを
 捉えるとはね……!」
アギーハ「だけど、浅いんだよ!!」

ツグミ「アイビス、
 相手はバランスを崩したわ!」
ツグミ「すぐにスプリットS!
 続いてマニューバーRaMVs!」

アイビス「く……ううっ!!」

ツグミ「!?
 機体を制御しきれていない!?」

アイビス「な、何とか……
 やってみせるよ……!」

マサキ「チャンスだ!
 先に仕掛けるぜ!」

アイビス「え!?先!?」

マサキ「行くぞ、アギーハ!!」

アギーハ「!!」

イベント戦闘(マサキ、アカシックバスター!)

アギーハ「チッ、バランサーが!!」

アイビス「す、凄い……!
 あの速度……!」

マサキ「何をぐずぐずしてやがる!
 次はおめえの番だ!」

アイビス「え!?」

ツグミ「そうよ、アイビス!
 ターン後、マニューバーRaMVsを!」

アイビス「わ、わかった!」


イベント戦闘固定台詞:
アイビス「やるんだ!
 絶対に成功させるんだ!」
アイビス「ラピッド・アクセラレーション!
 モビリティ・ブレイク!」
アイビス「続いてヴォレー・シュート!」
アイビス「相手の軌道を見切れ!
 その内側に飛び込む!!」
(マニューバーRaMVs直撃!)


アギーハ「くっ!推進系まで!!」

マサキ「これでおあいこだぜ、
 アギーハ!」

アギーハ(チッ……!
 今の状態じゃ、あの2機には
 ちょいと手こずりそうだね……!)
アギーハ(下手をすりゃ、
 後の任務に支障が出ちまう)
アギーハ(それに、奴らを逃したのは
 ヴィガジのミスだ。これ以上、奴の
 尻ぬぐいをする義理はないね……!)

マサキ「オラ、どうした!?」

アギーハ「サイバスター、それに新型!
 この勝負、ひとまず預けるよ!」

(敵部隊撤退)

アイビス「やった……やったよ……!」

ツグミ「アイビス……!」

マサキ「ヘッ……即席にしちゃあ、
 悪くねえ連携だったな」

アイビス「……!」

マサキ「……俺の名前はマサキ。
 マサキ・アンドーだ。あんたは?」

アイビス「アイビス・ダグラス……」

マサキ「あんたが奴の隙を突いてくれて
 助かった。礼を言うぜ」

アイビス「こ……こっちこそ……」

クスハ「マサキ君……アイビスさん……」

マサキ「とりあえず、これで一段落か」

レーツェル「マサキ、
 我々はここを離脱し、ヒリュウ改と
 合流するが……君はどうする?」

マサキ「状況が状況だからな。
 俺も一緒に行くぜ」

レーツェル「そうしてもらえると、
 こちらも助かる」

アイビス「……」

(通信音)

フィリオ「アイビス……」

アイビス「通信……!?
 いや、違う……レコーダーに残された
 メッセージ……?」

フィリオ「君がこのメッセージを
 聞いているということは、
 一つの壁を越えたのだと思う」
フィリオ「おめでとう、アイビス」

アイビス「フィリオ……」

フィリオ「アイビス……
 君は『流星』というあだ名を
 嫌がっているようだけど……」
フィリオ「流星は
 闇に落ちていくんじゃない……」
フィリオ「流星は
 夜を切り裂いて飛んでいるんだ」

アイビス「流星は夜を切り裂く……」

フィリオ「アイビス……
 僕は、君が流星になる日を
 信じているよ」 

(レコーダー終了)

アイビス「フィリオ……」

レーツェル「……行くぞ、アイビス」

アイビス「は、はい」


輸送機・機内
クスハ「じゃあ、マサキ君は
 シラカワ博士の手掛かりを得るために
 テスラ研へ?」

マサキ「ああ。
 もしかしたら、あいつがあそこへ
 現れるんじゃないかと思ってな」

シロ「でも、ここへ来るまでに
 メチャクチャ時間がかかったニャ」

クロ「うん……
 地球を3周ぐらいしたニャ」

クスハ「え、ええっ!?」

ツグミ「す、すごい航続距離と
 連続稼動可能時間なのね……」

マサキ「……あんた、
 クロとシロを見ても驚かねえんだな」

ツグミ「ええ、
 あなた達のお話はクスハや
 所長達から聞いていました」
ツグミ「だから、とても光栄です……」

マサキ「いや〜、
 そこまで言われると照れちまうぜ」

ツグミ「クロちゃん、シロちゃん、
 あなた達みたいな可愛いネコちゃんの
 ナビゲーターに会うことが出来て」
ツグミ「今度、
 ゆっくりお話を聞かせてね」

クロ「わかったニャ」

マサキ「何だ、俺じゃねえのかよ」

ツグミ「ツグミさんは
 アーマードモジュールのシステム
 開発担当者なの。だから……」

マサキ「ふ〜ん。
 ……ところで、シュウの野郎は
 テスラ研に現れなかったのか?」

クスハ「ええ……」

マサキ「エルザ……じゃなかった、
 レーツェルさんよ。あんたは
 あいつの居場所を知ってるか?」

レーツェル「いや……
 DC戦争後、彼とは会っていない」

マサキ「そうか……。
 また振り出しに戻っちまったな」

クスハ「マサキ君……」

マサキ「ああ、気にしなくていいぜ。
 これは俺の個人的な問題だからな」
マサキ「それに……お前らと
 一緒に行動してれば、奴が向こうから
 現れるかも知れねえ」

シロ「ヒリュウやハガネに乗ってた方が
 情報も集めやすいニャ」

マサキ「ああ。
 今はインスペクターとノイエDCを
 何とかしなくちゃならねえ」

(通信)

アイビス「こちらコックピット。
 ヒリュウ改を確認しました」

ツグミ「え?本当?」

アイビス「はい、
 向こうとの連絡も取れました。
 今から着艦します」

クスハ「良かった……これで……」

レーツェル「……どうやら、
 私の役目は終わったようだな」

クスハ「え……?」

レーツェル「私は所長からの依頼で、
 参式の2号機をある男に届けねば
 ならないのでな……」
レーツェル「ここで失礼させていただく」

ツグミ「で、でも、
 あなた一人だけでは……」

レーツェル「心配することはない。
 後のことは頼むぞ、タカクラチーフ」

ツグミ「はい」

クスハ「あの、レーツェルさん……」

レーツェル「何かね?」

クスハ「色々とありがとうございました。
 どうかお気をつけて……」

レーツェル「ああ。
 では、諸君……また会おう」


ヒリュウ改艦橋
リューネ「マサキ!元気だった?」

マサキ「リューネ……!
 お前、この艦に乗ってたのかよ?」

リューネ「うん、まあ……色々あってね」

マサキ「ふ〜ん」

リューネ「って、
 他に何か言うことないの?」

マサキ「他に言うことぉ?」

リューネ「ほら……しばらく見ない内に
 綺麗になったな、とかさ」

マサキ「おう、そう言や
 しばらく見ない内に……」

リューネ「見ない内に?」

マサキ「太ったんじゃねえか?」

リューネ「なっ……!
 あたしは毎日トレーニングしてるよ!
 そんなことあるもんか!」

ショーン「やれやれ、女性に対して
 一番言ってはならぬことを……。
 修行が足りませんな」

レフィーナ「……何にせよ、
 彼らと無事に合流できて幸いでした」

ショーン「ええ」

クスハ「レフィーナ艦長……ヒリュウは
 どこへ向かっているんですか?」

レフィーナ「南欧のアビアノ基地です。
 そこにはハガネやシロガネもいますよ」

クスハ「じゃあ、
 ブリット君やキョウスケ中尉達と
 会えるんですね?」

ショーン「そうです」

ツグミ「あ、あの……」

ショーン「あなたは……
 プロジェクトTDの
 ツグミ・タカクラチーフですな?」

ツグミ「は、はい。
 あの……今後テスラ研は
 どうなるのですか?」

ショーン「何とも言えませんな。
 インスペクターの襲来によって
 北米方面軍はもとより……」
ショーン「総司令部の方も
 かなり混乱しているようですので」

ツグミ「そう……ですか……」

レフィーナ「タカクラチーフ?」

マサキ「お、おい!大丈夫かよ?」

ツグミ「ごめんなさい……。
 少し疲れたようで目まいが……」

ショーン「無理もありません。
 クスハ少尉、彼女を医務室へ」

クスハ「は、はい。
 ツグミさん、こちらへ……」

ツグミ「ありがとう、クスハ……」


ヒリュウ改医務室
クスハ「……落ち着きました?
 ツグミさん」

ツグミ「ええ……。
 ありがとう、クスハ……」

ツグミ「……」

クスハ「ツグミさん……
 フィリオ少佐のことを
 考えておられるんですか……?」

ツグミ「……わかる……?」

クスハ「ええ……」

ツグミ「私ね……テスラ研を発つ時……」
ツグミ「フィリオから託されたTDに
 全てを投げ打つ覚悟を決めたの……」
ツグミ「でもね……こうして
 フィリオと離れ離れになり、
 スレイも去った今……」
ツグミ「これからどうすれば
 いいのか……わからなくなって……」

クスハ「……」

ツグミ「……」

クスハ「でも……
 ツグミさんにはアイビスさんが
 いるじゃありませんか」

ツグミ「アイビスが……?」

クスハ「私には……
 宇宙飛行士に必要なものが何なのか
 よくわかりませんけど……」
クスハ「アイビスさんは
 いつか必ず宇宙を飛ぶと思います」

ツグミ「クスハ……」

クスハ「あの人なら、いつかきっと……。
 そんな気がするんです」
クスハ「だから、頑張って下さい。
 アイビスさんを信じて……」

ツグミ「……」

ツグミ「もしかすると私……
 あまりに近くにいてアイビスのことが
 見えてなかったのかも知れない……」

クスハ「じゃあ、あの人を……」

ツグミ「……まだ、わからない……。
 わからないけど……」
ツグミ「あの人が……
 フィリオが信じたのだもの」
ツグミ「私も
 アイビスに懸けてみるわ……」

クスハ「ツグミさん……」

ツグミ(フィリオ……
 あなたと再び会える日まで
 アイビスは私が預かります……)
ツグミ(だから……絶対に……
 絶対に死なないでね……)


(中略)


マサキ「……で、
 そのカリオンは色々あって
 持ってこられなかったんだが……」
マサキ「アステリオンは
 アイビスが頑張ったおかげで、
 無事だったんだ」


(更に略)


ツグミ「……シャイン王女、
 これがそちらからご依頼のあった
 『フェアリオン』のデータです」

シャイン「ありがとうございます。
 早速、拝見させていただきますわ」

(データ見てる?)

シャイン「!?こ、この形は……!」

ツグミ「あ、あの、それは……
 カザハラ所長の独断で、
 それらしい外見であるべきだと……」
ツグミ「しかもフィリオ少佐まで
 所長の意見に賛同してしまって……」
ツグミ「二人して
 テスラ・ドライブの改造どころか
 予定外のシステムまで……」

シャイン「……」

ツグミ「私、
 格好は気に入ってるんですけど……
 どうでしょうか?」

シャイン「……」

ツグミ「やっぱり、やり過ぎ……」

シャイン「いえ、さすがカザハラ所長と
 フィリオ少佐でございますわ」

ツグミ「では……?」

シャイン「ええ、大変気に入りました。
 すぐに組立て作業を始めて
 下さいませ」

ツグミ「え……!?
 ま、まさか、王女……」

シャイン「はい。
 私には……やらねばならぬことが
 ございますので」


(中略)


ヒリュウ改格納庫
タスク「……こいつが
 リオンシリーズの最新型か」

レオナ「ええ。
 確か……アステリオンという名よ」

タスク「アステリオン……」
タスク「じゃ、分身して音速の蹴りとか
 ブチかますのかな?」

アイビス「あの……
 あたしの機体に何か……?」

タスク「もしかして、
 君がこいつのパイロット?」

アイビス「は、はい!
 プロジェクトTD所属、
 アイビス・ダグラス……」
アイビス「特殊プロジェクトの
 テストパイロットであるため、
 階級はありません……!」

タスク「そんなに堅くなることねえって。
 歳もそんなに違わなさそうだしさ」
タスク「俺、タスク・シングウジ。
 いや〜、新メンバーに君みたいな
 可愛い子がいてラッキーだなぁ」

アイビス「え……その……
 可愛いって……あたし……え……」

タスク(っと、ヤベぇ。
 レオナの前でついうっかり……)

レオナ「……タスク」

タスク(き、来たぁ〜)

ラオナ「少し彼女と話がしたいの。
 二人だけにしてもらえないかしら」

タスク「?あ、ああ……」

(タスク出て行く)

アイビス「あの……あたしに何か?」

レオナ「あなた……
 プロジェクトTDの所属と
 おっしゃられましたね?」

アイビス「は、はい……」

レオナ「スレイ……
 スレイ・プレスティは今どちらに?」

アイビス「スレイと
 お知り合いなんですか?」

レオナ「ええ……
 私はレオナ・ガーシュタイン。
 以前はコロニー統合軍にいました」
レオナ「そして、DCの所属だった
 彼女とは、模擬戦で何度か
 手合わせをしています」

アイビス「……」

レオナ「彼女の宙間戦闘技術は
 群を抜いていましたから……」
レオナ「一時は
 トロイエ隊に転籍するという話も
 あったのですが……」

アイビス「トロイエって……
 あのエリート部隊の……」

レオナ「ええ。
 でも、彼女はその話を断ったのです」
レオナ「自分はプロジェクトTDの
 テストパイロットであり、
 そのナンバー01だと言って……」

アイビス(スレイ……)

レオナ「彼女は……
 スレイ・プレスティは
 今、どこにいるのです?」

アイビス「スレイは……
 あたし達の元を去りました……」

レオナ「え……?」

アイビス「詳しい事情は
 あたしにもわかりません……」
アイビス「ただ、スレイは
 最後にあたしのことを敵だと……」

レオナ「そう……」

アイビス「レオナさん……
 あなた、スレイのライバルだったのかも
 知れないけど……」
アイビス「あたしにも
 スレイに負けられない理由がある……」

レオナ「……」

アイビス(そう……
 あたしは強くなりたい……)
アイビス(星の海を往くための強さ……)
アイビス(フィリオ……あたし……
 夜を切り裂く流星になるよ……!)