4人目の転職者
沙都子が転職した時にmixi日記で書いたものそのまんまです(笑)
ひぐらしネタだらけなので知らないと意味わからないかも。



「案外、楽なものでしたわね」
 スカウトマスターに指定された4つの薬を手に入れて、沙都子は得意気につぶやいた。
世界中を回ることは大変ではあったが、他人に対する洞察は沙都子の得意とするところだ。
与えられたキーワード、そして相手の態度から、答えるべき言葉はすぐに直感できていた。
なんなく手に入った薬を腰のポーチにしまい、帰路に着く。
同時期に冒険者を始めたシャルレィスにはかなり遅れての転職だが、自分の目的は冒険ではないのだから仕方がないだろう。
あくまで自分の目的は行方不明になったにーにー…兄、悟史、そしてそれを探して旅に出た圭一を探すことだからだ。
町での聞き込み等探索を主としながら、生活費のために冒険者を続けていたのだ、冒険者としての成長が遅くなってしまったのは無理もない。
 だが、そうやって探していても未だ悟史も圭一も見つかってはいない。
ゆえに沙都子はアサシンへの転職を決意したのだった。
もっと強くなれば探索の範囲をさらに広げられるし、報酬の高いクエストを受けることも出来るから、生活も楽になるだろう。
かなりの難関を覚悟して試験に挑んだのだが、あまりにもあっさりと終わってしまい、沙都子は少々気が抜けていた。
『ドンッ!!』
「…ッ!?」
 不意に、後ろからの激しい衝撃が沙都子を襲う!
華奢な沙都子の体はあっさりと吹き飛ばされ、その先にあった岩に激しく叩きつけられて、一瞬意識を失いかける。
なんとかそれだけは踏みとどまったものの、体に力が入らないまま岩にもたれかかるようにして衝撃の正体を探る。
「キエエエエエッ!!」
 響く鳴き声は、巨鳥ギーゴ。
ここ鉄火山に生息する、恐るべき魔鳥である。
どうやら急降下による、体当たりのごとく激しい一撃を受けたようだ。
シャルから譲り受けたシルバーメイルを着ていなかったら、今のくちばしの一撃で胸を貫かれていたことだろう。
「私としたことが、油断、いたしました、わね…」
 ギーゴがここに棲息していることは分かっていたのに。
知らず浮かれてしまいとんでもないミスを犯してしまった。
後悔しても、もう遅い。
こちらはいまだふらついているというのに、向こうは更なる止めの一撃を刺そうと羽ばたいている。
「に、にー…!」
 思わず叫びかけて、沙都子はその言葉を飲み込んだ。
もう、にーにーには頼らないと決めたのに。
胸に抱いた誓いと、故郷の仲間たちや圭一から教えられた強さが、沙都子の胸によみがえる。
「私は、こんなところで倒れてはいられないのですわ…!」
ふらつく体に無理矢理渇を入れ、クローをはめた両手を構える。
ギーゴはもう一度上空へと舞い上がると、沙都子へと急降下を開始した!
「…北条沙都子がどれほどの強さを持つか、試してみろぉおおおおおおッ!!!」
 気迫に満ちた叫びが辺りの空気を振るわせる!
沙都子めがけて急降下してきたギーゴを撃ち落すかのように、狙い済まされた沙都子のキックが美しい弧を描く。
次の瞬間ギーゴは沙都子の蹴り直撃を受け、遥か後方に吹き飛ばされていた。
だが、ギーゴもさるもの、すぐに再び宙へと舞い上がり、沙都子に肉薄する!
それでも沙都子は最早慌てない。
ギーゴに向かってクローを一振りすると、固く固定されていたはずのクローが外れ、さながらロケットパンチのようにギーゴに解き放たれた。
ギーゴはそれに一瞬ひるみ、速度を落としたものの、余裕でそれを避け、沙都子が武器を失ったことを見るや喜声をあげてまっすぐに向かってくる!
「精神集中!限界解除…ッ!!」
沙都子はギーゴが速度を落とした瞬間に、すぐさま隠し持っていた短剣を取り出し、スキルを発動させる。
訓練により一瞬で精神を研ぎ澄まし、一時的に限界を超えた速度を出せる技である。
ギーゴのすさまじい突進も、今の沙都子の目から見ればゆったりとしたものにすぎない!
沙都子はなんのひねりもなく突進してきたギーゴに、狙い済ました連撃を容赦なく叩きこんだ。
「ブランディッシュ!ですわーーー!!」




 勝負は、それでついていた。
沙都子は短剣をしまい、投げたクローを拾って両腕にはめなおす。
「残念でしたわね。私の武器がクローだけだと思っていたのがあなたの敗因でございますわ。
あいにく私は武器にはこだわりませんの。
トラップは最後に一つ、さりげないもので十分なのですわ…!」
 息絶えたギーゴを見下ろしながら、宣言する。
「…でも私も本当に詰めが甘いですわね。こんなところで気を抜いてしまいますなんて」
 苦笑して沙都子は、腰のポーチを探ると時空の鍵を取り出した。
最初から、これを使っていれば危険など何もなかったのに。
沙都子は鍵を使って町に戻るとギルドへ直行し、正式にアサシンとなった。
宿された紋章から湧き上がる知識と力に胸を熱くしながら、沙都子は自分の目的を再確認するように力強くつぶやいた。
「待っててくださいましね、にーにー…圭一さん。
必ず私が探し出して見せますわ!」



えーと、オチないですw
なんかうまくつながってないなぁ(汗)
ただ単に「…北条沙都子がどれほどの強さを持つか、試してみろぉおおおおおおッ!!!」が書きたかっただけなのです、はい(殴!w)
しかも実際のプレイに即してませんw
実は鉄火山に行く前、ノーザリン岬に行ったついでにノーザンまで足を伸ばしてスキルリセットとステータスリセットしたんですが、振りなおすの忘れたままミズチのところ行ってたので(爆)
スキル無しの初期ステータスって…敵に攻撃されなくて良かったー(^^;

シャル「ところで…私の丈夫剣破壊の時の情けなさとこのSSのシリアス度の差って何…?(涙)」w